2024.07.03

今日もひとり、ラジオを聴きながらお昼を食べる。

オフィスが入ったビルの共有フロアは大きな窓が三面にあり、空と高層ビルが見える明るいカフェのような素敵な空間で、いつも空が見える席でご飯を食べている。

今日は水曜日。早めについたので目の前の席は空いていて、空がよく見えて気持ちいい。

今日の深夜ラジオを聴こうとしたわたしはイヤホンを忘れたことに気がついた。どうしよう・・・イヤホンがない・・・。お昼の時はもちろん、近所に散歩に行く時も必ずバックの中にはイヤホンがいた。急にいなくなると寂しいし不安になるじゃないか。

どうしようどうしようと動揺した頭で考えていたが、やはりないものはないので諦めてお弁当を食べ始めた。

もぐもぐ・・・音のない生活ってつまらない。ブロードウェイを早く聴きたい。

耳もち無沙汰に周りを見渡してみると、携帯をいじりながらご飯を食べている人、動画を見ている人、椅子に浅く腰掛けてダラーッと伸びている人・・・会社の人だ。目線をお弁当に戻す。

音楽やラジオのない時間ってこんなに長く感じるんだ。

大人になって、何もない時間が怖くなった。

学生だった頃、実家の寝室でゴロゴロ本を読みながら隣のリビングで親がゆっくりしていた夜の風景。一人暮らしをしていた頃に、家の近所を平日のお昼に散歩していたこと。

ふとした瞬間に思い出す風景がある。あの時間にはもう戻れないんだ、とわかってしまう瞬間が怖かった。急に背中の下から得体の知れない何かが頭のてっぺんへ駆け抜けていく。

それでも、楽しいことはこれからも続いていくんだろうな、と思うことで何とかこの場に留まることができている。

これからどうなっていくのだろう・・・?これから先に何があるんだろう?

そう思いながら顔を上げた先に、少しの気まずさを感じた。目の前の空席は埋まり、もう空は見えなくなっている。

気がつくとお弁当箱は風呂敷に包まれ、蒟蒻ゼリーはカービィよろしく胃袋に吸い込まれていった。下を向きながらゆっくり椅子を引き、少し顔を上げると青空が見えた。

静かに、しかしすばやく体を捻らせ俯いて出口へと向かう。

本日のお昼はこれにて終了。